犬・猫と暮らすと『飼い主』が健康になる科学|認知症リスク40%減・血圧低下…最新研究が示す“ペットの力”と長く一緒にいるための備え
犬を飼う高齢者は認知症の発症リスクが40%低い――東京都健康長寿医療センターの研究や、猫の癒し効果の科学をやさしく解説。ペットが飼い主にもたらす健康メリットと、その関係を長く続けるための備えを紹介します。

「うちの子がいるから、毎朝ちゃんと起きて散歩に行く」——愛犬・愛猫と暮らす人なら、一度はそう感じたことがあるのではないでしょうか。実はこの何気ない日常が、飼い主自身の健康を静かに支えていることが、近年の研究で少しずつ明らかになってきました。
2023年、日本の研究チームが1万人以上を追跡した大規模調査で、「犬を飼っている高齢者は、飼っていない人に比べて認知症の発症リスクが約40%低い」という結果を発表し、大きな話題になりました。さらに海外では、猫と暮らす人の血圧やストレスホルモンに関するデータも積み重なっています。
この記事では、**「ペットが飼い主の健康に与える影響」**をテーマに、話題になった研究の中身をやさしく整理します。そして最後に、この“ペットの力”をできるだけ長く受け取り続けるために、飼い主側ができる備えについても触れます。
※この記事は健康や病気の予防・治療を保証するものではありません。研究で示されているのは「関連(相関)」であり、体調に不安がある場合は必ず医師や獣医師に相談してください。
先に結論:ペットは“健康の万能薬”ではないが、暮らしの質を確かに底上げする
先に大切な結論からお伝えします。
- 犬を飼う高齢者は、認知症の発症リスクが約40%低いという日本の研究結果がある(ただし猫では明確な差は見られなかった)
- 効果の中心は「犬そのもの」というより、散歩による運動習慣と**人との交流(社会とのつながり)**にあると分析されている
- 猫には猫の良さがあり、ふれあいによるリラックス効果・ストレス軽減が海外研究で報告されている
- ただしこれらは「飼えば必ず健康になる」という因果を保証するものではなく、あくまで傾向として捉えるのが正確
つまりペットは魔法の薬ではありませんが、「毎日体を動かすきっかけ」「笑顔になる時間」「人とつながる話題」を自然に与えてくれる存在——それが結果として、心と体の健康を底上げしている可能性がある、ということです。順番に見ていきましょう。
犬を飼うと認知症リスクが40%低い?──東京都健康長寿医療センターの研究
話題の中心になったのは、東京都健康長寿医療センター研究所が2023年10月に発表した研究です。ペット飼育と認知症の関連を国内で本格的に調べたものとしては、初めての大規模研究とされています。
研究のあらまし
- 対象は、2016年に東京都内で行われた疫学調査に回答した65歳以上・約11,000人
- 平均年齢は約74歳
- その後、介護保険の情報をもとに認知症の新規発症を追跡
- 「犬を飼っているか」「猫を飼っているか」で発症リスクを比較
その結果、犬を飼っている人は、飼っていない人に比べて認知症の発症リスクが約40%低いという関連が示されました。一方で、猫の飼育については明確な差は見られなかったと報告されています。
なぜ猫では差が出なかったのか
「猫好きとしては少し寂しい…」と感じるかもしれませんが、これは「猫が健康に悪い」という意味ではまったくありません。研究チームは、犬で効果が大きかった理由を散歩などの運動習慣と、犬を介したご近所づきあい・人との交流にあると分析しています。
犬の散歩は、毎日決まった時間に外に出て体を動かし、道で会う人と挨拶を交わす——という行動を自然に生み出します。この「運動」と「社会とのつながり」の両方が、脳の健康を守る方向に働いたと考えられているのです。実際、この研究でも運動習慣がある飼い主ではリスク低下がさらに大きかったとされています。
裏を返せば、猫であっても「一緒に遊ぶ」「世話をする」「その存在について誰かと話す」といった要素は十分にあります。ポイントは動物の種類そのものより、体を動かし、人とつながるきっかけになっているかなのかもしれません。
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犬が運んでくる“健康効果”の正体──運動・交流・オキシトシン
犬との暮らしが心身に良い影響を与えると考えられる理由を、もう少し分解してみましょう。
1. 毎日の散歩=続けやすい運動習慣
ジム通いやランニングは「三日坊主」になりがちですが、犬の散歩は「行かないと愛犬が困る」という理由があるため、続けやすいのが特徴です。1日2回、合計30分〜1時間ほど歩くだけでも、立派な有酸素運動になります。無理なく続く運動は、生活習慣全体を整える土台になります。
犬の散歩を快適にする道具をそろえておくと、飼い主の“外に出る腰の重さ”もぐっと軽くなります。体に合った犬用ハーネスや、夜のお散歩用のLEDライト付きリードは、続けるための地味だけれど効く投資です。
2. 「人とのつながり」が生まれる
犬を連れていると、散歩中に他の飼い主と自然に会話が生まれます。「かわいいですね」「何歳ですか?」——こうした小さな交流が、孤立を防ぎ、心の健康を支えます。高齢期において「社会とのつながり」は、認知機能を保つうえで重要な要素だと繰り返し指摘されています。
3. ふれあいで分泌される“幸せホルモン”
犬や猫をなでていると、飼い主・ペットの双方でオキシトシンというホルモンが分泌されることが知られています。オキシトシンは「愛情ホルモン」「絆ホルモン」とも呼ばれ、リラックスや安心感につながるとされます。同時に、ストレスホルモンであるコルチゾールが下がることも報告されています。
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猫にも“癒しの科学”がある──血圧・ストレス・心臓への効果
「うちは猫だから関係ないの?」——そんなことはありません。認知症の研究では犬ほどの差が出なかったものの、猫には猫の健康効果を示すデータが海外を中心に蓄積されています。
なでるだけで血圧・心拍が落ち着く
コーネル大学などの研究では、猫をなでることでオキシトシンが分泌され、血圧や心拍数が落ち着く方向に働く可能性が示されています。また、10分間ほど猫とふれあうと、唾液中のコルチゾール(ストレスの指標)が減ったという報告もあります。
心臓の健康との関連
やや古いデータですが、猫の飼育者は心筋梗塞などによる死亡リスクが低かったとする研究(米国の追跡調査)も知られています。近年のレビューでも「猫を飼う人は高血圧になりにくい傾向がある」といった報告が見られます。もちろんこれらも“関連”の話であり、猫を飼えば心臓病を予防できると断定できるものではありません。ですが、ゴロゴロと喉を鳴らす猫のそばで過ごす時間が、私たちの緊張をほどいてくれるのは、多くの飼い主が肌で感じているところでしょう。
猫との“ふれあいの時間”を増やすには、猫が夢中になれる道具も役立ちます。猫じゃらし・知育おもちゃを使った1日10分の遊びは、猫の運動不足解消にも、飼い主の気分転換にもなる一石二鳥の習慣です。
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子どもや働く世代にもメリットはある
ペットの健康効果は、高齢者だけのものではありません。
- 子ども:ペットと育つ子どもは、思いやりや責任感を学びやすいと言われます。また、幼少期に動物と接することがアレルギー面に良い影響を与える可能性を示す研究もあります。
- 働く世代:仕事のストレスを抱えて帰宅したとき、玄関で出迎えてくれる愛犬・愛猫の存在は、気持ちの切り替えを助けてくれます。「在宅ワークの合間に猫をなでるとリセットできる」という声も多く聞かれます。
- 一人暮らし:ペットは“生活のリズム”をつくってくれます。ごはん、散歩、遊び——世話をする時間があることで、生活が整い、孤独感がやわらぐという人も少なくありません。
海外のレビューでは、「40〜64歳では猫を飼うことのメリットが大きく、65歳以上では犬と猫の両方を飼うのが良い」といった興味深い分析も紹介されています。ライフステージによって“相性の良いパートナー”が変わるのかもしれません。
注意:因果を取り違えないために
ここまで良い話を並べてきましたが、公平のために大切な注意点もお伝えします。
「相関」と「因果」は違う
これらの研究の多くは、「ペットを飼っている人」と「飼っていない人」を比べた観察研究です。「もともと元気で活動的な人ほど犬を飼える(=飼える体力・環境がある)」という逆の可能性も否定できません。つまり「犬を飼ったから健康になった」と単純に言い切ることはできず、あくまで関連が見られたという段階です。
飼えば誰でも健康になるわけではない
ペットとの暮らしには、費用・時間・体力の負担も伴います。無理をして飼えば、かえってストレスになることもあります。飼う側と動物の双方が幸せでいられることが大前提です。
ペット自身の健康も忘れずに
飼い主が健康効果を受け取る一方で、ペット自身も年を取り、体調を崩すことがあります。“健康を分けてくれる存在”だからこそ、その子の健康チェックや食事管理を大切にしたいものです。毎日の食事は健康の土台。原材料にこだわったモグワン ドッグフードのように、素材の質を重視したフードを選ぶことも、その子と長く一緒にいるための一歩になります。気になる症状があるときは、自己判断せず必ず獣医師に相談してください。
この“ペットの力”を長く受け取り続けるために
犬や猫が私たちに運んでくれる健康や笑顔は、その子が元気でそばにいてくれてこそのものです。だからこそ、飼い主にできる備えを整えておきたいところです。
1. ペットの健康管理をルーティンにする
- 毎日のごはんと水、体重・便のチェック
- 定期的な健康診断とワクチン・寄生虫予防
- 夏の暑さ・冬の寒さへの対策(ペット用の見守りカメラで留守中の様子を確認するのもおすすめ)
2. “もしも”に備える
ペットも高齢になると、通院や手術など医療費がかさむ場面が増えていきます。「大切な家族だからこそ、お金の心配で治療をためらいたくない」——そう考える飼い主にとって、ペット保険は選択肢のひとつです。シニア期に入ってから慌てないよう、早めに情報を集めておくと安心です。
▶ 関連記事: シニア犬・シニア猫の保険|何歳まで入れる?選び方ガイド
3. 飼い主自身も休む
ペットの世話に一生懸命になるあまり、飼い主が疲れきってしまっては本末転倒です。散歩や遊びを「義務」ではなく「一緒に楽しむ時間」に変えていくこと。それが、お互いにとって長く続く関係の秘訣です。
まとめ
- 犬を飼う高齢者は認知症の発症リスクが約40%低いという日本の研究結果があり、その理由は散歩による運動と人との交流にあると分析されている
- 猫には血圧・ストレス面での癒し効果を示すデータがあり、犬・猫それぞれに良さがある
- ただしこれらは「関連」であり、「飼えば必ず健康になる」という因果ではない点に注意
- “ペットの力”を長く受け取るためにも、ペット自身の健康管理と“もしも”への備えを整えておきたい
毎朝の散歩、膝の上のぬくもり、ゴロゴロという喉の音——。そんな何気ない時間が、実は私たちの心と体を静かに支えてくれています。今日もそばにいてくれる愛犬・愛猫に、あらためて「ありがとう」を伝えたくなる研究結果ですね。
出典
- 東京都健康長寿医療センター研究所「ペット飼育と認知症発症リスク」プレスリリース(2023年10月24日): https://www.tmghig.jp/research/release/2023/1024.html
- サイエンスポータル(JST)「犬を飼う高齢者は認知症リスク4割低く 都健康長寿医療センターが1万人調査」: https://scienceportal.jst.go.jp/newsflash/20231214_n01/
- Healthline「Pets and Heart Health: Benefits of Owning a Pet」: https://www.healthline.com/health/heart-health/pets-and-heart-health
- American Heart Association「Pet Ownership and Cardiovascular Risk」(Circulation): https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/cir.0b013e31829201e1
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、医療・獣医療上の診断や助言に代わるものではありません。健康上の不安がある場合は、医師または獣医師にご相談ください。


